こんにちは。元看護師転職サポートキャリアパートナーの黛聡志(まゆずみ さとし)です。
皆さんは日本の三大疾病をご存知でしょうか？
皆さんもご存知かと思いますが、「がん（悪性新生物）」「心疾患（急性心筋梗塞）」「脳卒中」です。どれも高齢者医療に関わる分野で、超高齢化社会である日本において上記疾患に関係する科目を経験することはご自身の看護師キャリアの幅を大きく広げる事でしょう。
上記3疾患のうち最先端医療に携われる事が多く、やりがいも大きいと言われる脳神経外科に関してお話したいと思います。
▮脳神経外科の特徴は？
脳、脊髄、末梢神経系およびその付属器官（血管、骨、筋肉など）を含めた神経系全般の疾患のなかで主に外科的治療の対象となりうる疾患について診断、治療を行う診療科です。
麻痺や嚥下障害、日常生活動作（ＡＤＬ）を行う事が困難な患者さんも多く、意識レベルの低下や脳障害により言葉による対話が難しいケースも少なくないです。患者さんが亡くなることも多い科の一つでもあります。
▮脳神経外科の業務内容は？
バイタル測定、患者さんの生活の介助、医師の診察の介助など大きな流れは他の診療科の看護師と変わりはありません。ですが、通常業務をやりながら急患・急変対応を行うために忙しいことが多くなります。
また、意識がない患者さんがいたり、頭部にドレーン（管）が挿入されている場合があり、他の診療科よりも細かい記録・管理・知識が必要な事も出てきます。
（例：CTがある程度見られる事、アンギオグラフィー(血管造影検査)に関しても一通りの知識がある事、脳室ドレーンを始め、頭に留置するドレーン類はかなり厳重な管理が必要となる）
▮脳神経外科での看護師さんの役割は？
コミュニケーションが取れない患者さんの様子をつぶさに観察し、バイタルサインの変化や表情、全身状態のちょっとした変化を見逃さないよう細心の注意を払いながら、何か異変があったらすぐに的確な対応を取ることが必要です。
体が動かない、またコミュニケーションを取ることが難しい患者さんの心と体のケアをすることも同様に重要になります。（気持ちや痛みを言葉にすることが困難な場合もあり、看護師が積極的に患者さんと関わり合い、工夫して看護を行うことが重要な職場です。）
ご家族や患者さん、医師やリハビリ職種と円滑なコミュニケーションをとり、回復に向けてのパイプ役となることが脳神経外科のやりがいであり、難しさではないでしょうか？
▮脳神経外科が向いている人は？必要なスキルは？
▼緊急時でも冷静な判断ができる人、ちょっとした変化でも見逃さない観察力がある人
緊迫した状態で運び込まれる患者さんに対する、迅速、冷静な状況の判断や、意識レベルの低下や脳障害で、患者さんが言葉によるコミュニケーションが難しい場合があるためです。
▼自らの判断を実際の行動に移す行動力のある人、学ぶ意識のある向上心が強い人
緊急対応や急変対応では、臨機応変な対応も求められますが、そういったことをプレッシャーに感じる人や、ルーティンワークの方がよいと感じている人には、向いていないかもしれません。
▮脳神経外科で働く4つメリットは？
▼広い領域の知識が身につく
重症患者の方も多く、モニターによる観察が重要になってきます。ICP（頭蓋内圧）モニターや心電図、脳波計などの様々な医療機器が導入されているので正確な機器の読み取りなどが看護師に求められます。また通常の看護から、脳障害や後遺症といった作業療法的な知識なども必要です。
▼最先端の医療を学ぶ機会が多い
看護師さんも最新の医療機器、投薬・治療といった幅広い知識を必要とされます。脳神経内科・外科では知識を学ぶ機会も多く、看護職として多くの知識を身につけられることがメリットとなりキャリアアップにつながります。
▼病気に対する看護だけでなく心の看護にも携われる
脳障害により言葉や体が不自由で意思疎通が困難、日常生活に支障がでる障害を抱える患者さんもいます。そのような状況の中で、看護を通じて患者さんの訴えを汲み取ることも重要です。また、患者さんだけでなくご家族に対しても分かりやすい説明や家族へのケアも求められます。
▼やりがいを感じやすい
脳障害を負った患者さんの症状が回復していく過程をみることは看護師として仕事に対する達成感も得ることができます。手術やリハビリを乗り越え退院される患者さんを見た時や、話せなかった患者さんから「おはよう」と声をかけられたり、「ありがとう」という声を聞いたりした時は、やりがいを感じます。
▮脳神経外科のデメリットは？
▼常に勉強が必要
モニターや心電図、CT、アンギオ等の幅広い知識が求められ、最先端の医療も勉強していかないとなりません。勉強会などが多い病院も多く、向上心がないと辛いかもしれません。
▼業務中は忙しい＆残業も多いケースが多い
覚える事や、やる事も多く、力仕事も多い（介助業務）です。通常業務に急患対応もあり、とにかく忙しく、残業が多い病棟でもあります。
▼精神的な負担
患者さんの異変を察知し適切な処理が必要とされるので精神的な負担も大きいといえます。また患者さんの生命や日常生活に影響がでる障害など重篤なケースも多く、亡くなる方も多いため、辛いと感じる場面も多いかもしれません。
▮脳神経外科経験後のキャリアチェンジは？
脳神経外科の魅力の一つと言えるのが、脳神経外科経験した看護師さんのキャリアチェンジは多様性があります。どんなものがあるか見ていきましょう。
①脳神経外科⇒SCU
脳神経外科をさらに専門的に学ぶためのキャリアアップです。
②脳神経外科⇒回復期リハビリテーション
回復期は脳血管系の疾患がほとんどで、急性期を脱した方が行く次の環境です。脳神経外科病棟で勤務し、その後の患者さんが回復していく様子を見たい方にお勧めです。
③脳神経外科⇒オペ室
脳神経外科は手術前後の患者さんが多く、病棟での経験が活かせる場面も多々あります。
④脳神経外科⇒介護老人保健施設
回復期と似たような役割にはなりますが、介護老人保健施設も在宅復帰を促す施設形態です。その後の高齢者の生活から在宅復帰まで携われる事でまた違った視点の看護が実践できるようになるのではないでしょうか？
▮最後に・・・
いかがでしたでしょうか？
様々なキャリアチェンジも目指せる脳神経外科は知識・スキルともに大きく成長できる科目で、経験すると活躍の場が広がります。
もし脳神経外科にチャレンジしてみたいと興味を持たれた方は、紹介会社などに「紹介会社などに強みを持った病院」はお近くにどんなところがあるのかを聞いてみてもよいかもしれませんね。
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